short novels
the dreams of she
1.出会い
2
遠くの空をカモメの群れが横切る。
いつの間にか夕暮れになっていた。
時を忘れたはずのこの場所でも時は流れるらしい。
影が伸びて一面紅色に染まった海――――
コレが俗に言うロマンティックというやつなのだろうか。
いかにも女の子が喜びそうな風景。
ここに、まだこんな風景が残っている事に少し僕は驚いた。
先ほどよりも大きさを増した波の打ち寄せる音、
紅を反射する海は、まぶしい。
ふと、足音が近づいている事に気づき、振り返る。
「君も親に捨てられたの?」
長い黒髪を風になびかせて一人の少女が立っていた。
―――――――――それが彼女との出会いだった。
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2006/01/03/蒼羅